【政治・経済】-人口減少時代の国家・社会像を探る

 

 

 戦後、我が国はめざましい成長を遂げましたが、急速に進む人口減少と超高齢化という課題に直面しています。少子高齢化は財政・社会保障の持続性を揺るがすだけでなく、日本の経済・社会システムに大きな変化をもたらします。また、第4次産業革命とも呼ばれる新しい技術革新が、消費や働き方など私たちの暮らしに大きな変化を引き起こしつつあります。大きな構造変化を前に、これまでの発想を転換し、新たな製品やサービスの開発など我が国の強みを活かすとともに、誰もが活躍できる社会づくりなど活力ある未来を構築することが強く求められています。持続可能な社会に向け、これからの国家戦略や経済財政運営について考えます


 

 第1回〔9月7日(金)〕

戦後日本政治の軌跡

森本 哲郎

関西大学 法学部 教授

 戦後70余年の日本政治について、政治体制(政治の構造)の変動というマクロ歴史的な視点から理解しましょう。まず戦後改革について、正当性原理の転換と政治の多元化への基礎条件形成という角度から位置付けた後、「55年体制」を形成期の特質とその後の変容の落差に注目しつつ、その意義を考察します。これらを踏まえて、1990年代以降現在までの20数年間、新たな政治体制(政治の構造)が形成されたのか、を考えます。キーワードは合意型政治/多数決型政治、ロー・ポリティクス/ハイ・ポリティクス、です。 

 

 

 第2回〔9月14日(金)〕

少子化と高齢化の進む中での雇用と社会保障

木下 秀雄

龍谷大学 法学部 教授

 少子化が嘆かれ、同時に高齢化に「超」を付けてその深刻さが強調されています。現在直面している日本社会の問題は、いかにも「お先真っ暗」なように見えます。しかし事態の深刻さを直視するとともに、その解決方向を楽観的に展望しましょう。そしてその際のキーワードとして「権利」の視点から考えます。つまり、事態の深刻さを直視するとともに、自分だけは何とかそこから抜け出そう、という視点ではなく、自分の求めることは社会全体の求めることだ、という風に、自己の利益と公共性及び公益性とを決どうする視点を考えます。

 

 

 第3回〔9月28日(金)〕

将来負担の増大と持続可能な財政運営

湯之上 英雄

兵庫県立大学 経済学部 准教授

 我が国の財政は、国と地方ともに非常に厳しい状況にあります。長期不況時に、税収が減少する一方で、景気刺激のための歳出を公債でまかなったため、債務残高の増大が引き起こされました。わが国の財政を取り巻く経済・社会情勢や基本的な財政指標について知識を共有した上で、将来負担の増大を抑制し、持続可能な財政運営を行うためにどのようなことが必要なのかを考えます。

 

 

 第4回〔10月5日(金)〕

第4次産業革命とものづくり

山下 紗矢佳

神戸山手大学 現代社会学部 専任講師

 産業革命というと、蒸気機関登場による生産性向上を第1次産業革命、その後急速に進んだ重化学工業化を第2次産業革命、インターネットの出現でICTが急速に普及し自動化が進んだことを第3次産業革命と呼びます。今やインターネットは世界共通のインフラと化し、IoT、AIの進展により世の中の産業構造が大きく変わろうとしています。すなわち第4次産業革命の到来を意味します。第4次産業革命によるモノづくりの変化、私たちの生活への影響について考えていきましょう

 

 

第5回〔10月12日(金)〕

中小ものづくり企業の生き残り戦略

 藤川 健

兵庫県立大学 経営学部 准教授

 後継者不足と技術者の高齢化が進む日本の中小製造業では、東アジア諸国の技術的なキャッチアップに苦しめられています。さらに、3Dプリンターなどの第4次産業革命により、国内の中小製造業がこれまで保持してきた技術力そのものの再考が迫られています。そこで、本講義では高い技術力を有すると言われてきた日本の金型産業を事例にして、国内ものづくり企業の生き残りのための戦略を考えます

 

 第6回〔10月18日(木)〕

景気回復の実相:消費からみる景気回復

稲田 義久

甲南大学 経済学部 教授

 アベノミクスの期間は日本経済の景気回復期間に当たっていますが、その回復の内容は決して順調なものではありません。部門別に見ると、企業部門はアベノミクスの恩恵をうけ回復著しいですが、家計部門は概ね停滞しています。実際、消費税増税以降の民間消費の低迷を見ればよく事情がわかります。一方、民間消費にはカウントされないがインバウンド消費(サービス輸出)は日本経済を押し上げています。本講義では、民間消費の視点から日本経済をとらえ、その安定的な回復が日本経済の回復にとって重要であることを議論します 

 

 

 第7回〔10月26日(金)〕

地域の雇用と人工知能

濱口 伸明

神戸大学 経済経営研究所 教授

 近年、人工知能・ロボット・自動化に関する急速な技術進歩により人々の雇用が奪われるのではないかという懸念が高まっています。職業別のコンピュータ化確率と日本の雇用データを用いて、コンピュータ化に対する雇用リスクを分析しました。その結果、大都市圏ほど、男性に対して女性はコンピュータ化に対する雇用リスクが相対的に高いです。また、コンピュータ化確率の高い職業ほど就業者の平均教育年数の値が低い傾向にあり、コンピュータ化されにくい職業へ転職するには追加的な人的資本投資が必要とされます。このような労働の代替関係のほか、人工知能と人間の補完関係についても考えます

 

 

 第8回〔11月2日(金)〕

日本の通商戦略

中西 訓嗣

神戸大学大学院 経済学研究科 教授

 経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の質的・量的拡大をめざす日本の通商戦略は国内の人々の暮らし向きにどのような影響を及ぼすのでしょうか。EPA・FTAを通じた貿易自由化は、一方で企業による国際生産ネットワークやグローバルバリューチェーン(GVC)を深化させていきますが、他方で国内の所得格差・二極化を進めたり産業空洞化を招いたりするなどと非難されることもあります。本講義では、日本の通商戦略を概観し、国際経済学の基本的な枠組みに沿ってグローバリゼーションにまつわる諸論点を整理します

 

 

第9回〔11月9日(金)〕

選挙制度改革を考える

砂原 庸介

神戸大学大学院 法学研究科 教授

 1990年代、日本では小選挙区比例代表並立制を導入する選挙制度改革が実現し、二大政党制に向かうだろうという期待が語られてきました。しかし20年以上経った現在、当初期待されていた二大政党制が実現したとは言えず、野党は分裂を抱えて脆弱な状態が続いています。この講義では、20年間の政治改革を総括し、期待されていたような政党の再編が実現しなかった理由を検討していったうえで、新たに考えられる改革について考えてみたいと思います

 

 

 第10回〔11月22日(木)〕

代議制民主主義と政党政治のゆくえ

待鳥 聡史

京都大学大学院 法学研究科 教授

 代議制民主主義は、政党政治とともに発展してきました。有権者である一般市民が、公選された政治家に政府の運営を含む政治権力の行使を委任するのが代議制民主主義の基本です。その実質的機能は、政治家の集団としての政党を抜きにして考えることはできません。しかし今日、政党は社会とのつながりを弱め、代議制民主主義への信頼や期待も低下しているように見えます。それはなぜなのか。今後どのような展望があるのか。これらの点について考えてみましょう

 

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