【政治・経済】-人口減少時代の国家・社会像を探る

 

 

 少子高齢化が進むなか、経済の低成長時代が続く一方、社会保障費の増大が財政を圧迫するなど厳しい経済財政運営を迫られています。第4次産業革命ともいわれるテクノロジーの進展を前に、これまでの発想を転換し、新たな製品やサービスを開発するなどわが国の強みを活かすとともに、女性や高齢者も活躍できる社会づくりなど活力ある未来を構築することが強く求められています。持続可能な社会に向け、これからの国家戦略や経済財政運営について考えます。


 

 第1回〔9月14日()〕

将来負担の増大と持続可能な財政運営

長峯 純一 

関西学院大学総合政策学部 教授

 わが国の財政状態は、先進国でも最悪と言われています。なぜそのような状態になったのか。1970年代の石油ショック時の財政赤字拡大に始まり、社会保障費用の増大、1980年代後半に起きたバブル経済の崩壊に始まるその後の長期経済停滞、1990年代の公共投資急増、高齢社会突入、2000年代に入っての自治体財政逼迫、人口減少、老朽化インフラと、この間の財政状態を振り返りながら、日本の財政問題と持続可能性について考えてみます。 

 

 

 第2回〔9月21日()〕

異次元金融緩和と成長戦略

地主 敏樹

神戸大学大学院経済学研究科 教授

 黒田総裁の下、日本銀行が実施してきた異次元金融緩和策について、そのメカニズムや従来の政策との相違を説明し、これまでの成果を評価します。インフレ目標の2%は実現できていませんないが、失業率は極めて低くなりましたった。なぜ賃金が上昇しないのかが謎ともされまするが、平均賃金の上昇は鈍いものの、人手不足による「転換点」到来が予想されまする。転換点を超えれば、賃上げからインフレ率は高まるでしょう。人手不足の下では、生産性を高めないと、経済成長は見込めません。米国離脱でTPPの実現が難航する中、外圧による規制緩和に頼ることはできませんが、様々な現場での人手不足対応が生産性を引き上げるのではないでしょうか。

 

 

 第3回〔9月25日(月)〕

現代社会における競争と協働

鈴木 純

神戸大学大学院経済学研究科 准教授 

 経済のグローバル化や情報技術の進展を背景に、競争原理はわたしたちの生活のすみずみに浸透しつつあります。他方、企業の社会的責任や地方創生、地域福祉などの議論に見られるように、今日ほど、企業や個人の協力・協調の重要性が語られる時代はなかったのではないでしょうか。ときには互いを補完し、またときには摩擦を生じさせる、この「競争と協働」の関係に着目して、これからの経済社会と経済政策について考えてみたいと思います。

 

 

 第4回〔10月2日(月)〕

縮小都市の持続可能性を考える

矢作 弘

龍谷大学 特任教授 

 人口減少、高齢化など人口動態が変化し、一方で脱工業化による産業構造の転換が進展しています。いずれも<都市縮小>の要因になっています。都市政策はコペルニクス的な転換を求められています。これまでの成長を目指す、あるいは成長することを前提に構築されてきた都市政策は、方向転換を求められています。少なくとも、しばらくは「縮小」を前提に都市政策を編み出さなければならなくなります。換言すれば、縮小時代の持続可能な都市の「かたち」を考える、ということです。ここで「かたち」は、単に物理的、建築的な意味に止まらず、人々の働き方/暮らし方を含む都市の総体です。

 

 

第5回〔10月16日(月)〕

テクノロジーの進展と経済産業政策

 山下 紗矢佳

神戸山手大学現代社会学部 専任講師

 「偉大な企業はすべてを正しく行うが故に失敗する」という言葉があります。Clayton M. Christensenによるイノベーションに関する議論です。優良企業とされる大企業がイノベーションにより成長する一方で、イノベーションゆえに顧客ニーズや小規模市場を軽視し、結果的に新興企業に後れをとると説明しているのです。なぜイノベーションが必要なのか、またこうしたイノベーションのジレンマを解消するためにはどのような経済産業政策が必要なのか、考えていきましょう。

 

 第6回〔10月23日(月)〕

女性の活躍を促す仕組みづくり

横山 由紀子

兵庫県立大学経営学部 教授

 少子高齢化や世帯を取り巻く環境変化により、近年、女性の活躍推進が注目されています。しかしながら、依然として仕事と家庭の両立は厳しく、仕事と家庭で二者択一の選択を迫られる女性も少なくありません。働き続けたとしても、多くの母親は常に葛藤を抱えています。女性の活躍を促すためには何が必要なのでしょうか。何が女性活躍推進の壁となっているのでしょうか。女性が活躍できる社会になるための方策を探ります。 

 

 

 第7回〔10月30日(月)〕

戦後政治と田中角栄

下村 太一

神戸学院大学法学部 准教授

 近年、田中角栄元首相に関する書籍が相次いで出版されるなど、田中という政治家に改めて注目が集まっています。田中が戦後日本において果たした役割はどのように評価すべきなのでしょうか。この講義では、田中が「土建国家」「族議員政治」と呼ばれるような戦後の利益誘導政治の形成や、国土政策をはじめとする公共政策にどのように関わったのかを取り上げます。そのことを通して、田中政治の光と影について考えてみたいと思います。

 

 

 第8回〔11月6日(月)〕

超高齢社会下の雇用と企業の成長

佐竹 隆幸

関西学院大学大学院経営戦略研究科 教授

 グローバル化、少子高齢化といった背景から日本の社会・構造の変化を概観し、これからの企業の持続的成長の原動力となる「ヒト」を活かした経営を創造します。特に雇用面において、深刻な「人手不足」を前提とした多様な人材の活用、多様な働き方といった多様性(ダイバーシティ・マネジメント)を捉えたなかで、労働生産性を高め、持続的成長を可能にする「人財」経営の重要性を解説します。「ヒトが価値を生み出す」新たな経営モデルとはいかなるものかを考えていただく機会とします。

 

 

第9回〔11月13日(月)〕

これからの地方自治体運営

松並 潤

神戸大学大学院国際協力研究科 教授

 人口減少・高齢化が、自治体(特に阪神間のような都市化した地域)にどのような影響を与えるのか考えます。歳入が大幅に増えることは期待できませんが、高齢者への福祉サービスを中心に行政需要は増加傾向にあります。限られた財源で引き続き行政サービスを提供するために、自治体はどうしているのか、それに対して住民はどう反応しているのかを考えます。

 

 

 第10回〔11月20日(月)〕

ソーシャルメディアの成長と民主主義

田畑 暁生

神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授

 ソーシャルメディアは急激な成長を遂げ、社会での存在感も増しました。例えばフェイスブックの利用者は世界で約20億人に達しています。チュニジアやエジプトなどの「アラブの春」の民衆動員にツィッターやフェイスブックが大きく関わるなど、ソーシャルメディアの成長は政治面でも影響は大きいといわれています。日本でも多くの政治家がソーシャルメディアを利用するようになりました。この講義では、ソーシャルメディアの成長が民主主義にどのような変化をもたらすのかについて、マスメディアとの比較や、直接民主主義の議論、ポピュリズム、ソーシャルメディア論の第一人者というべきキャス・サンスティーンの議論などを参考にしながら考察を進めていく予定です。

 

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