【国際理解】-不安定化する国際情勢の行方を読む 

 

 米中の軋轢の拡大、米露対立、英国のEU離脱問題などわが国を取り巻く国際情勢は厳しさを増しており、世界的なポピュリズムの伸長などもあって混迷の度を深めています。こうした世界の動向について学び理解を深めることにより、これからのわが国の進むべき方向や役割について考えます


※募集定員に達したため、受付を終了いたしました。※


 

 第1回〔9月19日(木)〕

世界の難民・移民の現状と日本

柄谷 利恵子

 関西大学 政策創造学部 教授

 紛争や暴力、迫害などを理由に移動を強いられる人の数が増え続けています。2017年末でその数は6850万人を超え、第2次世界大戦以降、最大の数となっています。くわえて、労働を目的として国境を越える人も増えています。日本では20194月に出入国管理及び難民認定法が改正されました。今後5年間で最大34万人の外国人労働者が受け入れられるかもしれません。本講義ではこのような世界の難民・移民の状況に関して、日本の対応および役割について検討します。

 

 

 第2回〔9月27日(金)〕

グローバリズムとナショナリズム

鈴木 基史

京都大学大学院 法学研究科 教授

 本講義は、冷戦終結後に進展したグローバル化を概観し、それが経済や政治に及ぼす影響について考えます。とくに、国際資本移動が増加し、所得格差が拡大する一方、既存政党の衰退、極右・極左政党やポピュリズムの台頭によって政治が不安化する中で、国民に安心を供与するため、保護主義や排外主義という不健全なナショナリズムが表面化しているところに注視します。まとめとして、グローバル化にともなう政治と市場の関係を再考します。

 

 

第3回〔10月4日(金)〕

ポピュリズムとヨーロッパ・デモクラシーの行方

阪野 智一

神戸大学大学院 国際文化学研究科 教授

 近年、特にデモクラシーの先進地域とされるヨーロッパにおいて、ポピュリズムと呼ばれる政党や政治運動が躍進しています。ポピュリズム現象をどう理解し、何故それは急速に台頭し、どのような政治的影響を与えているのか。そこにはどのような類似点と相違点が見られるのか。ポピュリズム現象を中心に、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア等の欧州主要国の政党政治の分析を通じて、ヨーロッパ・デモクラシーの現状と問題点を比較考察したいと思います。

 


 第4回〔10月18日(木)〕

米国第一主義と多国間主義:トランプ政権と対峙する世界

安岡 正晴

神戸大学大学院 国際文化学研究科 准教授

 米国のトランプ大統領は選挙戦時の公約通りに、米国第一主義を標榜し、TPPからの離脱、パリ協定からの離脱、イランとの核合意からの離脱、中国などに対する高関税政策の実施などを行い、世界経済や同盟国を動揺をさせています。こうした米国の一国主義(ユニラテラリズム)はトランプに始まったことでなく、近年で言えばブッシュJR政権のイラク戦争が典型であり、またクリントン、オバマ両民主党政権でもそのような傾向の政策も少なからず見られました。こうした米国における米国第一主義の源流と傾向はどのようなものなのか?それに対して世界はどのように向き合ってきたのか、あるいは向き合うべきなのかについて考えてゆきたいと思います。

 


第5回〔10月25日(金)〕

中東政治構造の激変と今後の行方

 中村 覚

神戸大学大学院 国際協力研究科 教授

 地球温暖化抑制のために、脱炭素系エネルギーへの転換が地球規模で進められていますが、まだ数十年単位で日本にとって中東との関係は戦略的に重要となります。ですが今年に入り、米国のトランプ政権は、イラン禁輸政策を完成させようとしています。また近年、中国は一帯一路政策の一部として中東への進出を進め、ロシアはシリアに軍事基地を初めて確保しました。本講では、イスラエル・パレスチナ問題だけでなく、いわゆるイスラーム国組織(IS)、湾岸情勢、イエメン戦争などを併せて俯瞰する視点を提供します。

 

 

 第6回〔11月1日(金)〕

アメリカ衰退論の行方

中嶋 啓雄

大阪大学大学院 国際公共政策研究科 教授

 戦後、アメリカ衰退論は何度か議論になってきましたが、米中間の覇権争いとも言える今日の歴史的局面をどのように理解したら良いのか、1980年代後半から90年代初頭にかけての日本を念頭に置いたアメリカ衰退論等と比較しつつ、検討してみたいと思います。さらにオランダからイギリスへの覇権交代(17世紀後半)、イギリスからアメリカへの覇権交代(19世紀末~20世紀中葉)、また18世紀半ばまで東アジアと北西ヨーロッパは同様に発展していたが、その後、後者が圧倒的優位に立ったする「大分岐」論等も検討し、今日の国際社会が置かれている状況を理解します。

 

 

 第7回〔11月15日(金)〕

ウクライナ情勢とロシア事情

岡部 芳彦

神戸学院大学 経済学部 教授

 2014年の政変後に話題になることの多かったウクライナですが、最近はニュースで取り上げられることも減りました。一方、東ウクライナの紛争、ウクライナ正教会の独立、コメディー役者の大統領就任など問題山積の政治情勢が続いています。また日本と同じく隣国がロシアであり、クリミア併合以後、領土問題も抱えています。この講義では、日本の「隣の隣の国」の情勢を見る事で、北方領土問題を中心に日露関係についても展望します。

 

 

 第8回〔11月22日(金)〕

中国経済のゆくえ-不確実性とダイナミズム-

梶谷 懐

神戸大学大学院 経済学研究科 教授

 安価な労働力を供給し、かつて「世界の工場」と言われた中国は、世界第2位の経済大国になり、その動向は世界経済に大きな影響を及ぼしています。民間企業は次々とイノベーション(創新)を生み出し、個人消費も堅調で、巨大な市場を狙う外国企業の投資も旺盛です。一方で、国有企業や不動産への過剰な投資や、「影の銀行」などの問題が顕著になり、その脆弱性も指摘されています。文化大革命の混乱から市場経済体制へ舵を切った「改革開放」から40年。本講義では特殊な政治体制のもとで発展をとげた経済活動の現状や今後を具体的に分析、解説します。

 


 第9回〔11月29日(金)〕

AIをめぐる法・政策に関する動向

福田 雅樹

大阪大学大学院 法学研究科 教授

 人工知能(AI)は、インターネット等と接続されて利活用されることを通じて、その便益により社会に様々な恵沢をもたらし得る一方で、その技術的な性質等に関連して様々なリスクがあることが指摘されています。各国及び国際社会においては、AIの便益による恵沢を増進するとともにリスクに伴う不利益を抑制するための法・政策の在り方が精力的に検討されています。この講義においては、AIをめぐる法・政策に関し、問題の所在、関連する動向等に関し、国際的な視座に立脚しつつ講じます。

 

 

 第10回〔12月6日(金)〕

中国の対外対策と一対一路構想

浅野 亮

同志社大学大学院 法学研究科 教授

 米中関係の緊張を背景として、中国はますます「一帯一路」を重視するようになりました。中国側は熱心に宣伝しますが、日米ではリアリスティックに捉え、情報も幾何級数的に増えたため、「一帯一路」をどう考えたらよいか大きな問題になっています。錯綜する情報を的確に読み解くにはどうしたら良いか。正確な理解の上にこそ適切な政策は成り立つが、意外にも、そのためには迂遠に見える基礎的な学術手法に頼るほかありません。そのような、実際の政策とは全く関係のないように思える手法として、歴史学の研究方法を使い、米中関係や「一帯一路」を読み解いてみます。


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