【国際理解】-混迷する国際情勢を読み解く

 

 最近の国際情勢は混迷の度を深めています。東アジアでは朝鮮半島が緊張の度合いを高めるとともに、南シナ海や東シナ海をめぐり各国の主張が対立しています。アメリカではいわゆるトランプ現象に象徴されるように社会の分断、格差の拡大などが顕在化しています。ヨーロッパでは難民問題に端を発し、英国のEU離脱通知、ポピュリズムの伸長などが生じています。中東ではISやシリアをめぐる問題など不安定な状況が続いています。グローバル化がもたらす光と影など今日の国際社会を取り巻く諸課題を明らかにするとともに、今後のあるべき国際関係について考えます。


 

 第1回〔9月15日(金)〕

人間の安全保障と平和構築

栗栖 薫子

 神戸大学大学院法学研究科 教授

 本講義では、人間の安全保障(human security)の概念を軸としながら、内戦、テロなど含めた現代の紛争の特徴と要因について概観しますする。そこで発生するジェノサイド、民族浄化などからの一般市民の保護の問題を、国際的な取り組みという観点から考えます。また、紛争後の社会において紛争の再発を防ぎ、日常を取り戻していくための平和構築としてこれまで行われてきた様々な試みについて紹介し、その課題について考えます。

 

 

 第2回〔9月22日(金)〕

中東・環インド洋地域の行方

中村 覚

神戸大学大学院国際文化学研究科 准教授

 中東に関しては、サウディアラビアとイランの緊張、ISIS問題、カタル断交など、次々と大事件が報じられています。ですが日本には、中東と関係を強化する道しか選択肢はありません。この観点から、米国やアジア新興国の中東政策、イスラーム政治、民主化問題などについて考えます。本講は、中東諸国が環インド洋地域と関係を強化している「アジア転回」に注目し、戦略的思考に取り込む視点から論じます。

 

 

第3回〔9月29日(金)〕

膨張する中国の行方と日中関係

伊原 吉之助

帝塚山大学 名誉教授

 講義は三つの部分から成ります。第一、習近平政權の「一帶一路」構想と米中關係。第二、習近平政權が抱える内政問題。第三、日本は習近平政權とどう附合えば良いか。第三の問題を念頭に置きながら、習近平政權の對外政策と對内政策を探ります。そして、日本の對中關係の基軸を決めるのは、トランプ政權の米國との附合い方です。 

 


 第4回〔10月6日(金)〕

トランプ大統領と今後の日米関係・国際情勢の行方

簑原 俊洋

神戸大学大学院法学研究科 教授

 1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領が誕生しました。就任から約9カ月を経て大統領の外交政策はどのように展開され、評価できるのか。また、昨年はブレギジットなどによって示されるように、パクス・アメリカーナ下の国際秩序は揺らぎ始め、国際政治は地殻変動期に突入したが、2018年の国際政治の行方はいかに。本講座では日米関係を軸に据えつつ、緊迫化・不安定化する国際環境を念頭に置きながら今後の国際情勢について検討します。

 


第5回〔10月13日(金)〕

欧州危機と反グローバリズム

 久保 広正

摂南大学経済学部長・教授/神戸大学 名誉教授

 2016年6月、英国民はEU離脱を決定しました。これを契機に、EU統合に対する懸念が他のEU加盟国でも広がりつつあります。この背景には、域内での移民流入による雇用不安、域外からの難民流入による財政負担への不満があるとみられます。また、EUに対する不満の底流には、経済統合そのものへの疑念が存在しており、欧州危機とさえ指摘できる状況にあります。本講義では、主として経済面に焦点を当て、何故にEU統合に対する疑念が生じるようになったか、さらには、今後、EU統合はどのように変化しているかについて論じることにしたいと思います。

 

 

 第6回〔10月20日(金)〕

有志連合の政治学

多湖 淳

神戸大学大学院法学研究科 教授

 国際政治において同盟よりも緩やかな国家の協力の枠組みを「有志連合」と呼びます。アメリカはその国際戦略においてこれを多用してきましたが、いつ、どのような目的でそれが作られ、そして他国がいかにそれと付き合ってきたのかをデータ分析の結果をもとにご説明します。時間が許せば、最近の英・豪・サウジアラビアといったアメリカ以外の主導国による有志連合についても若干触れたいと思います。

 

 

 第7回〔10月27日(金)〕

領土・海洋をめぐる紛争と解決への道筋

玉田 大

神戸大学大学院法学研究科 教授

 近年、国際関係を論じる際に、国際裁判の比重が大きくなっています。①日本にとって懸念であった捕鯨問題は、ICJの捕鯨事件判決(2012年)で日本の敗訴に終わりました。②南シナ海における中国の人工島建設問題についても、国連海洋法条約附属書VIIの仲裁法廷の判断(2016年)で中国が完敗しました。今後も領域・海洋紛争が国際裁判に付託されるケースは増加すると見込まれています。他方で、国際裁判は万能ではなく、難題を幾つも抱えています。第1に、強制的管轄権がありません(例えば、竹島問題をICJに付託するのは無理です)。第2に、判決の強制執行制度がありません。日本はICJ判決をすぐに受諾しましたが、中国は南シナ海判断を無視しています。この講義で領土・海洋紛争が如何にして解決されるかを勉強しましょう。

 

 

 第8回〔11月17日(金)〕

グローバル社会の光と影

野田 昌吾

大阪市立大学大学院法学研究科 教授

 ポピュリズム勢力の台頭や自国中心的な政治への回帰など、いま先進各国で起きているさまざまな動きの背景には、経済をはじめとするグローバル化とそれへのこれまでの政治的対応が存在しています。今、何が起きているのか、グローバル化時代の政治の問題を考えます。

 


 第9回〔11月24日(金)〕

ポピュリズムとは何か

山本 圭

立命館大学法学部 准教授

 昨今、米国大統領選やBrexitを受け、ポピュリズムに注目が集まっています。本講義では、政治理論の立場から、ポピュリズムの諸特徴および民主主義との関係を問うこととします。

 

 

 第10回〔12月1日(金)〕

欧州における移民難民問題

坂井 一成

神戸大学大学院国際文化学研究科 教授

 地中海における移民難民問題に見られるように、人の国際移動は現代社会を考察する上で欠かせない現象となっています。EUでは、1990年代後半から加盟国間での移民難民政策の調整を進め、非EU圏からの移住者の受入体制の構築に努めてきていますが、アラブの春以降の大量の難民の流入を受けて、このありかたにも大きな課題が突きつけられてしまっています。本講義では、EUがこの事態にどのように対応しているのかを確認し、人の移動をめぐるガバナンスがどのような状況に置かれているのかについて考察します。


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