【防災・復興】-災害多発時代におけるリスクに正しく備える

 

 

 日本列島は災害多発時代を迎えたとも災害が常態化しているともいわれます。今後30年以内の発生率が70~80%程度とされる南海トラフ地震をはじめ、スーパー台風やカルデラ噴火など、巨大災害の発生も懸念されています。こうしたなか、様々な災害のリスクを正しく理解し、被害の最小化や早期の復旧・復興につなげるためにいかに取り組むべきか、安全安心な減災社会の実現に向けた方策について学びます


 

 第1回〔9月25日(火)〕 

兵庫県を襲った地震:古代~近代

中西 一郎

 京都大学大学院 理学研究科 教授

 1995年1月17日午前5時46分頃に兵庫県南部地震が発生しました。古代から政治の中心に近く、地震を記す記録が多くあります。貞観10年7月8日(西暦868年)の地震で播磨の官舎・諸寺が倒壊しました。仁和3年7月30日(887年)の南海地震により柏原の神社が倒壊しました。応永19年11月14日(1412年)の地震により高砂で社寺・民家が多く倒壊したとする記録があります。応永20年11月15日に大地震が発生したとする記録が京都に複数残されています。文禄5年閏7月13日(1596年)の地震で神戸の諸寺・民家が倒壊しました。寛文2年5月1日(1662年)の地震により尼崎城が大破しました。宝永南海地震(宝永4年10月4日:1707年)により尼崎・明石・赤穂の城が大破し、津波が瀬戸内沿岸を襲いました。大正14年(1925)年5月23日の北但馬地震では日本海側の城崎・豊岡が家屋の倒壊と焼失を被りました

 


 第2回〔10月2日(火)〕

近年の豪雨の特徴と災害から命を守る

沖村 孝

(一財)建設工学研究所 代表理事

 近年の豪雨災害の実例を紹介し、その時の降雨記録から、豪雨の特徴は、1)大きな降雨強度が、2)短時間に、3)空間的に集中して降った特徴があることを紹介します。このような降雨があった場合の洪水災害や土砂災害から命の安全を守る方策としては、構造物によるハード対策、リスク情報によるソフト対策のみならず、避難行動によるヒューマンウエア対策が必要であることを紹介します

 

 

 第3回〔10月9日(火)〕

未来の巨大災害をイメージし、その危機に備える

紅谷 昇平

 兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 准教授

 東日本大震災や熊本地震などの巨大地震・津波災害や地球温暖化に伴う豪雨災害、火山噴火災害など、日本は災害リスクの高い国です。さらに未来には、少子高齢化やインフラの老朽化など社会的脆弱性による被害拡大が懸念されています。本講義では、未来の日本が直面する巨大災害のリスクと、そのリスクに備えるために個人、家庭、地域、行政等に求められる対策、また防災対策が進まない心理的要因、社会的要因について解説します

 


 第4回〔10月16日(火)〕

火山大国に暮らす覚悟

巽 好幸

神戸大学 海洋底探査センター 教授・センター長

 日本は、地球上の約7%、111もの活火山が密集する世界一の「火山大国」です。だから私たちは、火山から温泉や食べ物などの恩恵を得ると同時に、火山災害という試練も与えられる運命にあります。そして数々の自然災害の中で、最も壊滅的な被害をもたらすのが、「巨大カルデラ噴火」です。南九州から縄文人を一掃した7300年前の鬼界カルデラ噴火では、現在の神戸でも20cm以上の火山灰が降り積もりました。このような破局噴火に私たちはどう向き合えば良いのでしょうか?

 


 第5回〔10月23日(火)〕

災害情報と防災行動

近藤 誠司

関西大学 社会安全学部 准教授

 災害情報は「鵺(ぬえ)」のようにつかみどころがなく、扱いが難しいものです。無ければとても困りますが(情報の空白域など)、あっても困る場合があります(情報の洪水、情報の格差や鮮度の問題など)。リスクを認識するための想定や計画が、かえって防災に背を向ける人を生み出す「社会的逆機能」を起こすこともあります。防災学習や防災訓練が、防災嫌いを増やすネガティブキャンペーンにつながることもあります。いのちを守り、救い、支えるための'生きた'災害情報のありかたを、一緒に考えてみましょう。

 

 

 第6回〔10月30日(火)〕

ICT時代の災害対策

仲谷 善雄

立命館大学 情報理工学部 教授

 ICTの進展に伴って、これまで難しかった情報の収集や共有が可能になってきました。例えば、TwitterやLINEなどのSNSによって、消防を通さずに個人的な救助依頼が可能となりました。その一方で、SNSはデマの温床ともなりえます。また海外からの観光客が急増している現状において、日本語だけでいかに大量の情報を共有しても、非日本語話者には届かないという言語の問題もあります。講義では、SNSの功罪、多言語化と無言語化、ICTを用いた防災訓練など、災害の分野へのICTの適用の可能性と現時点での課題を整理します

 

 

 第7回〔11月12日(月)〕

地域を拠点とした共助による住宅減災復興

近藤 民代

神戸大学大学院 工学研究科 准教授

 災害に備えた住宅づくりについて、地域を拠点としてどのように取り組むことが出来るかについて論じます。安全・安心の地域社会を築いていくためには予防だけでなく、復興を見据えた備えを両輪で進めることが肝要です。住宅再建は自助が基本と考えられていますが、共助による取組みやそれを支える公助がなければ地域は復興しません。リスクマネジメントにおけるリスクの軽減、回避、転嫁、受容に分類して、住宅減災復興の内容を示します

 

 

第8回〔11月19日(月)〕

企業防災の課題と対策:官民連携BCM(事業継続マネジメント)

渡辺 研司

名古屋大学大学院 社会工学専攻 教授

 ここ数年の大規模災害による企業・産業活動の非被災地も含めた全国的な途絶の背景には、ICTや物流インフラの高度化に依存したネットワーク型の社会的経済構造における脆弱性があります。本講義では、事業継続計画(BCP)に基づく事業継続マネジメント(BCM)を導入しつつ、その限界を企業間連携や官民連携で補完しながら地域全体の災害レジエリエンス強化に取り組む事例の解説を通じ、その重要性と今後の課題についての考察を展開します

 

 

 第9回〔11月26日(月)〕

災害教訓の語り継ぎと防災教育

舩木 伸江

神戸学院大学 現代社会学部 准教授

 防災の基本は過去から学び次なる災害に備えることです。ひとたび大きな災害が起こると多くの後悔とそれに基づく教訓が生まれます。しかし、せっかくの教訓もきちんと継承されなければ活かされないのが実情です。本講義では、災害教訓の語り継ぎの場として学校教育現場での防災教育の現状について事例をあげ説明し、課題と解決に向けての取り組み例を紹介します

 

 

 第10回〔11月28日(水)〕 

地域コミュニティの防災力

渥美 公秀

大阪大学大学院 人間科学研究科 教授

 「地域コミュニティの防災力」について考え始めると、次々と問いばかりが浮かんできます。地域コミュニティとはどこを指しているのか?どれほど多様な人々が含まれているか?防災力とは何なのか?防災力はアップしたりするのだろうか?そもそも誰がどのように何を進めるのか?そしてその効果はわかるものなのか?本講義では、地域コミュニティの防災力に対する考え方を整理しながら、実例を示し、それぞれの地域コミュニティで行える実践について提案します

 

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