【防災・復興】-迫りくる南海トラフ地震に備える

 

 

 日本列島は災害多発時代を迎えたといわれるなか、今後30年以内の発生確率が70%程度とされる南海トラフ地震の発生が懸念されています。南海トラフ地震は、死者が最大で32万人を超えると想定されるなど、広域にわたり大規模な被害をもたらす点で国難ともなりうる災害です。また、それに先立ち内陸直下型地震が頻発する可能性もあります。一方で、津波避難の徹底や耐震化をはじめ、ハード・ソフトの対策を講じることにより、被害を大幅に減らすこともできます。地震のリスクや被害を正しく理解し、いかに備えるべきか、安全安心な減災社会の実現に向けた方策について学びます。


 

 第1回〔9月12日(火)〕 

南海地震の姿と予測可能性

橋本 学

 京都大学防災研究所 教授

 2011年東日本大震災を受けて、南海トラフ沿いの巨大地震の想定が大きく見直されました。また、平行して大震法で規定されている警戒宣言のスキームが、西日本まで適用できるかどうか検討するため、南海トラフ沿いの地震の予測可能性について公的には初めて議論がなされました。これらの議論に参加して来た研究者の一人として、想定の考え方、予測が困難と判断した根拠等を解説します。

 


 第2回〔9月19日(火)〕

南海トラフ地震の災害史を知る

寒川 旭

(国研)産業技術総合研究所 名誉リサーチャー

 南海トラフから繰り返し発生してきた巨大地震について、文献資料(文字記録)と考古学の遺跡で見つかった地震痕跡を用いて考察します。具体的には、過去2000年間の発生の歴史と被害、当時の社会への影響についてお話します。一方、南海トラフで巨大地震が発生する数十年前から内陸の地震が多くなる(活動期)と言われていますが、このような時期に発生した主な内陸地震について紹介します。

 

 

 第3回〔9月26日(火)〕

迫りくる南海トラフ巨大地震に備える

金田 義行

 香川大学 四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構

地域強靭化研究センター長 特任教授

 再来が危惧される南海トラフ巨大地震。1944年昭和東南海地震、1946年昭和南海地震から70余年さらには1854年に安政南海トラフ地震からすでに160余年が経過しています。2016年の紀伊半島沖の地震は、フィリピン海プレート境界域で発生した地震で、南海トラフ巨大地震発生の切迫度が高まっていると推定されます。そのための、事前準備、災害対応ならびに災害後の地域強靭化を視野に入れた様々な取組みが喫緊の課題です。本講演では、最新研究成果とその備えについて述べます。

 


 第4回〔10月3日(火)〕

南海トラフ地震がもたらす最悪経済シナリオと対策

永松 伸吾

関西大学社会安全学部 教授  

 南海トラフ地震の被害は最悪で220兆円とも言われています。その数字だけでも甚大なものですが、具体的にどういった経済的問題が発生するのかについては現在も研究が進められているところです。とりわけ、これだけ大規模な災害においては、復興の資金調達も容易ではありません。この講義では、現在の最先端の知見から生じる最悪の経済シナリオと、その対

策について考えていきたいと思います。

 


 第5回〔10月10日(火)〕

長周期地震動の影響と対策

福和 伸夫

名古屋大学減災連携研究センター 教授・センター長

 長周期地震動問題は、1964年新潟地震、1985年メキシコ・ミチョアカン地震、2003年十勝沖地震などで課題として浮かび上がり、とくに2011年東日本大震災において、多くの国民が東京や大阪の高層ビルで強い揺れを経験したこともあり、大きな問題となりました。本講義では、これらの過去の地震における長周期地震動の影響について述べると共に、長周期地震動が生じるメカニズム、長周期地震動に関わる課題、取組みの現状、今後の対応の方向性について述べます。

 

 

 第6回〔10月18日()〕

地域防災力向上のための災害情報の活用

浦川 豪

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科 准教授

 地域防災力、住民の防災リテラシー向上のためには、様々な災害情報を収集し、自分、家族が生活している場所、生活スタイルに合わせて上手に活用することが必要不可欠となります。特に、情報技術を利用した災害情報の提供においては、行政側の新しい技術の適用と業務改善、受信側の住民は受信した災害情報を上手に活用できる防災リテラシー向上の双方が必要不可欠となります。本講義では、最新技術、複数のメディアを利用した災害情報共有の取組みを紹介するとともに、私たちが暮らす地域への関心を多くの住民が持つ必要性と位置情報や地図の利用方法について述べます。

 

 

 第7回〔10月24日(火)〕

津波避難について考える

矢守 克也

京都大学防災研究所 教授 

 南海トラフ地震で想定されている人的被害のほとんどは津波によって生じると考えられています。他方で、その被害の多くは適切な避難によって防ぐことができるともされています。本講義では、効果的な津波避難について、避難訓練の方法、緊急時の災害情報のあり方といった観点から考えます。

 

 

第8回〔11月14日(火)〕

大規模災害時の被災者支援-命をつなぐ

阪本 真由美 

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科 准教授

 2016年熊本地震による犠牲者はのうち75%が、災害後の生活の中で命を失った「災害関連死」として認定されました。災害から命を守るには、災害発生時だけではなく、長期化する避難生活における対策が重要になります。大規模な災害が発生すると、私たちの生活環境は一変します。住まいを失い、電気・ガス・水道などのライフラインは断絶し、様々な生活困難を強いられます。そのような中で助かった命をどのように守るのか、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の事例から考えます。

 

 

 第9回〔11月21日(火)〕

大規模広域災害の復旧・復興 -地域を守る

牧 紀男

京都大学防災研究所 教授

 東日本大震災の発生から6年が経過しました。津波により壊滅的な被害を受けた地域でも、ようやく高台を切り開き、低地に盛り土をして造成された新しい市街地が姿を現しはじめました。完成した造成地では住宅や商店の建設がはじまっています。しかし、その一方で被災した地域の人口減少は著しく、地域の持続性が課題となっています。南海トラフ地震の発生を見据え、地域を守るという観点からの災害復興まで見据えた,人口減少時代における新たな防災のあり方を考えます。

 

 

 第10回〔11月28日(火)〕 

東日本大震災の被災地に学ぶ -南海トラフ地震を見据えて-

姥浦 道生

東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 准教授

 東日本大震災の発生から6年以上が経過し、復興の動きも最終局面に入りつつあります。今回の復興は人口減少局面における大規模広域災害という点に最大の特色があり、それに対応したさまざまな取組みも行われました。本講義においては、このような東日本大震災からの復興の取組みのうまくいったところ、いかなかったところについて解説すると共に、今後の人口減少時代のまちづくりのあり方と南海トラフ地震に備える際の教訓について述べます。

 

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