【地球環境】-兵庫の豊かな自然環境を育む 

 

 兵庫は、日本海から太平洋に至る広大な県土、変化に富んだ地形や気候など、自然環境に恵まれています。地球温暖化が懸念されるなか、豊かな環境をいかに守り育て、次代に引き継いでいくかということが問われています。こうした観点から、兵庫の環境を今一度見つめ直し、私たちは、今、何をすべきか学びます。


 

第1回〔9月12日(水)〕

待ったなしの地球温暖化対策

鈴木 胖

(公財)地球環境戦略研究機関 関西研究センター 所長

 地球温暖化防止のためにはCO2削減が必須です。主因である化石燃料の消費をゼロにしなければなりません。化石燃料に代わるエネルギーは再生可能エネルギーと原子力しかありません。原子力を増やすことには世論の大半が反対しています。再生可能エネルギーは太陽、風力、水力、バイオマス、地熱等です。このうち大量に導入可能なものは太陽と風力です。両者は天候に左右され大きく変動するので変動再生エネルギー(VRE)と呼ばれています。VRE電源の仕組み、これを導入した場合に電力系統をどのように運用すればよいかを具体的に説明します。

 


第2回〔9月19日(水)〕

都市環境と緑

山田 宏之

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授

 都市化の進行に伴い、都市の表面は、コンクリート、アスファルトなどの物質で覆われていきます。これにより、ヒートアイランド現象、都市型洪水の頻発、身近な生き物たちの消失などの環境問題が生じてきました。都市の緑化は、この解決策の一つではあり、大都市では、屋上緑化や壁面緑化などが注目されるようになってきています。本講義では、都市緑化の様々な事例を紹介すると共に、それらの緑地がもたらす多面的な効果について解説します。

 

 

 第3回〔9月26日(水)〕

動物生態学の理論に基づくコウノトリ野生復帰の進展

江崎 保男

兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科教授・研究科長

 コウノトリの野生復帰は、2005年の再導入に始まりましたが、2017年には野外個体数が100を超えるとともに、13年目にして初めて、北近畿以外(徳島県)での、初の繁殖成功という一里塚に到達しました。この事業は20世紀に確立された「動物生態学の理論」に基づく「保全という実践」です。生態学の本質を理解してもらったうえで、コウノトリ野生復帰の最前線を知っていただきます。

 


 第4回〔10月3日(水)〕

里山の保全

服部 保

兵庫県立南但馬自然学校 校長

 桃太郎のおじいさんが柴刈り(しばかり)に通ったのが里山です。柴、薪、炭などの燃料を生産する場所が里山です。現在里山は不要となって放置されています。その里山放置林の現状や里山放置林の環境林・文化林・減災林としての再生方法などについてお話します。

 


 第5回〔10月10日(水)〕

地球温暖化と森林生態系

石井 弘明

 神戸大学大学院 農学研究科 准教授

 日本の国土面積の約67%は森林に覆われています。森林は光合成により地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を吸収してくれます。兵庫県内にもエネルギー消費によるCO2の排出を森林による吸収で相殺する「ゼロエミッション」を実現している自治体があります。一方、世界の森林面積は減少が続いており、これが温暖化の進行を早める可能性もあります。森林はCO2を吸収するだけでなく、貯蔵する役割も果たしているからです。本講義では、森林生態系の炭素循環について学び、森林になぜ炭素が貯まるのか、森林を破壊するとなぜ温暖化が進むのか解説します。

 

 

 第6回〔10月17日(水)〕

森林生態系の保全と復元

石井 弘明

 神戸大学大学院 農学研究科 准教

 温暖な気候と豊富な降水量に恵まれた日本の国土は、本来はほとんどが森林に覆われているはずです。しかし、人間が森林を切り開いた結果、自然林の面積は減少し、現在では市街地や人工林、二次林など人間によって改変された景観の中に点在するのみです。人工的な環境の中で自然林は成立するのか?一度人間によって破壊されてしまった森をよみがえらせることはできるのか?本講義では保全と復元の観点から森林生態系の現状と未来について考えます。

 

 

 第7回〔10月24日(水)〕

生物多様性の危機

角野 康郎

神戸大学 名誉教授

 1990年代から絶滅危惧種の急増が問題となり、日本でもレッドリストが編纂されるようになりました。最近は種の多様性だけでなく、生態系の多様性や遺伝子レベルの多様性も含め、生物多様性の危機として課題を認識し、その保全に取り組むことが世界的な流れとなっています。この講義では、生物多様性の実態を水辺環境(湿地)の事例を中心に紹介し、その危機をもたらしている原因(「4つの危機」)のうち、特に人間活動の縮小にともなう自然環境の変化と外来生物問題を中心に考えます。その上で私たちに何ができるのかを、最近の保全生態学の研究成果を踏まえて論じます。私たちがよかれと思って行っていることが、実は自然環境の破壊につながっているケースについても考えます

 

 

第8回〔10月31日(水)〕

増え続ける野生動物の管理の最前線

横山 真弓

兵庫県立大学 自然・環境科学研究所教授(併任 森林動物研究センター研究部長)

 兵庫県で行われている野生動物管理の最前線について、ニホンジカやイノシシ、ツキノワグマなどの大型獣を中心に解説します。なぜ被害がここまで深刻化してしまったのか、科学的な野生動物の管理はどのようなものか、本当に必要な対策は何であるか、などを解説します。

 

 

 第9回〔11月7日(水)〕

海を越える大気汚染と国内大気汚染をとらえる-その影響と対策-

藍川 昌秀

公立大学法人北九州市立大学 教授

 近年、微小粒子物質(PM2.5)が広く国民・県民の関心となっています。その対策を立案・実施する上で、現状を精確にとらえることが必要になります。日本は偏西風の影響を受ける、北半球中緯度のアジア極東に位置することから、日本における大気汚染は大陸からの影響と国内由来の影響を複合的に受けることとなります。本講義では、大気汚染を測定する手法やその測定結果から見えてくる海を越える大気汚染と国内大気汚染の実態を紹介します。

 

 

第10回〔11月14日(水)

海辺の楽しみ:美しく豊かになった大阪湾

藤原 建紀

京都大学 名誉教授

 私たちの海との付き合いは大きく変わってきました。団塊の世代や、その上の世代は、川辺や海辺での楽しい思い出を持っています。現在の大学生にとっては、小学生のころ海水浴に行ったことがある程度のおぼろげな記憶の場でしかありません。今一度、海辺の楽しさ、海の楽しさ、海の恵みを思い出し、それを次の世代に伝え、繋ぎたいと考えています。数十年経って、美しく豊かになった大阪湾の今をお知らせしたく、また海の成り立ち、大阪湾や明石海峡の科学についても解説します。

 

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